「私」は、誰。

「私」は、誰。

2015年に作曲した《臨死船》以来、「カンタータ」と名のつく曲をしばしば書きます。古くはイタリア/フランスにおける室内用ミニ・オペラ的作品、そしてバッハの教会カンタータのように、礼拝の中で説教の一部として用いられる作品で用いられた呼称ですが、私の場合は、「歌と語りを行き来する、ストーリー性のある作品」にこの名を与えています。

江戸川乱歩のグロテスクな傑作『人間椅子』を、文才あるメゾ・ソプラノ歌手佐々木暁美さんの台本で、カンタータに仕立てました。ピアノは、昨年ヘンツェ《午後の曳航》で、素晴らしい伴奏ピアノを弾いて頂いた清水史さんです。

なかなかインパクトあるヴィジュアルですが、拙作のカンタータ+ヒンデミットとアイスラーをフィーチャーした、実にコアなプログラムを、赤坂の大変雰囲気のある空間でお届けします。