テゼオとアリアンナ
新国立劇場では、シーズンオープニング《ジューリオ・チェーザレ》の稽古が始まっています。
2年前に中止となったプロダクションのリベンジ公演で、タイトルロールのチェーザレ役を除けばキャスト・スタッフ共にほぼそのままの陣容で再結集しました。
私がバロック・オペラに初めて関わったのもこの作品で、鈴木雅明さんが指揮する二期会ニューウェーブ劇場公演でのことでした。その際にトロメーオを歌われて以来、私同様古楽の魅力のとりことなったのがメゾ・ソプラノの中村裕美さん。
先日リリースした、2枚のCDをベースにしたコンサートがありますが、この機会に拙作を委嘱していただきました。
ヘンデルの《クレタのアリアンナ》HWV32と、モンテヴェルディの《アリアンナの嘆き》のストーリーの間のミッシングリンクを埋めるというコンセプトで、開成の後輩、三村一貴君に美しい日本語の台本を書き下ろしてもらい、バロック風のカンタータに仕立てました。
バロック風と言っても、16分の5拍子のアリアがあったり、チェロに2本弓を持ってもらいおどろおどろしい音色で固執低音を演奏してもらったりと、「温故知新」に努めた曲想になっています。皆さんにお披露目するのが大変楽しみです。