モルデントとアッチャッカトゥーラ

モルデントとアッチャッカトゥーラ

1月17日の「小さな室内楽」に関連して、イタリア盛期バロックの伴奏において欠かすことの出来ない2つのテクニック、モルデントとアッチャッカトゥーラについて補足します。

こちらの動画は、インターネット上で様々な古楽についてのチュートリアルを配信しているEarly Music Sourcesというサイトによる解説です(英語)。

この動画が依拠しているのは1708年のガスパリーニの教本ですが、実際はもっと幅広い使われ方が為されていたようです。

モルデントというと、一般的には「下向きのトリル」(波線に縦線が刺さっている記号で表す)を指すことが多いですが、ここでは意味が異なり、ハーモニー外の音を一瞬弾いてから離すことで、「甘噛み(<mordere)のような」効果を生む奏法です。

アッチャッカトゥーラは、やはり現代では短い前打音を指すようですが、この時代は主に「カデンツのドミナント(V)の上でトニック(I)の構成音を同時に鳴らしてしまう」事を指します。しかも、モルデントと違ってこれは鍵盤を押しっぱなし。

有名なのはドメニコ・スカルラッティのソナタです。こちらのページに譜例付きの解説があります:

スカルラッティの森

実はモルデントは、セッコ・レチタティーヴォの伴奏などで慣習的に使っていたりするのでさほど違和感がないのですが、アッチャッカトゥーラは、このスカルラッティのソナタを除けば、積極的に伴奏で使おうという奏者は余りいません。単純に音が多くて演奏が厄介なのと、やはり不協和音を意図的に奏することへの抵抗感が最初はあるためでしょう。

しかし、慣れてくるとそれこそ唐辛子のように、無いと美味しさを感じない辛味のように中毒性を帯びてくるのが不思議なところ。長くなりましたが、今回のコンサートでは、音楽的に成立する範囲で盛りに盛ってお届けしたいと思っております。皆様のご来場をお待ちしております。

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